日本で令和元年6月に改正された動物愛護法(動物愛護及び管理に関する法律)、まだこのニュースが記憶に新しい方も多いかもしれません。
今回改正された動物愛護法は主に、
・出生後58日(8週)を経過しない幼齢の犬、猫の販売等の制限
・マイクロチップ装着の義務付け 等。
それでは、既にこれらを施行しているドイツの動物愛護に対する実態はどうなのでしょうか?
ドイツの動物愛護法
ドイツ人は元々農牧業を盛んに行っていた為、昔から動物との関係はとても深いものだったといいます。
日本での動物愛護法にあたるドイツでの動物に関する法律は動物保護法。
この動物動物保護法が制定されたのは1933年。
動物虐待罪や動物実験規制をはじめ、第5章までに渡り様々な細かい規定が定められています。
また、ドイツでは憲法にも動物保護に関する内容が書かれています。
“国は、来るべき世代に対する責任を果たす為にも、憲法に適合する秩序の枠内において立法を通じ、また、法律及び法の基準に従って執行権及び裁判を通じ、自然的生活基盤及び動物を保護する。”
ドイツの動物愛護センター
ドイツには、ティアハイムと呼ばれる動物愛護センター(動物保護センター)がドイツ全土に1000か所以上存在します。
(※ティア=動物、ハイム=家)
ベルリンにあるヨーロッパ最大のティアハイムは所有面積はなんと18万5000平方メートル。
ここで保護される動物達は犬や猫に留まらずウサギ、シマリス、ラット、鳥、そして虫類などの保護棟まで。
さらに驚きなのは元々ペットや家畜として飼育されていた馬やミニブタ、羊などの保護もしているそう。
正直そこまで来ると日本では考えられないですね..
ここで保護される動物の数は年間およそ1万頭以上。
そのうち約4割が飼い主不明とされる野良達や劣悪な環境で飼育され、獣医局から保護された子達。その他には飼い主の死亡や動物アレルギー、引っ越し等の理由で保護された子達も多い。
ドイツのこのティアハイムには、日本の動物保護施設のように期限付きで飼い主を探し、期限中に飼い主が見つからなかったら殺処分というシステムがない。
ここでは飼い主が見つかるまで責任をもって、更に動物達にとっても良い環境で保護される。
それではなぜそのようなことが実現できているのか…
ヨーロッパ最大規模、ベルリンにあるこのティアハイムでは、獣医局が保護をした動物に対しては行政から保護支援金として年間60万ユーロ(日本円およそ72万円)が支給されている。
ただ、これだけ大規模だと維持費や飼育費含め、決して十分とは言えない金額。
不足分に関してはティアハイムが負担している。
また、このティアハイムではおよそ1,5万人、そしておよそ1万人の寄付者がいる。会員には年間20ユーロ(日本円でおよそ2,400円)の支援を頼んでいる。
さらに従業員が約140人なのに対し、ボランティア約600人が動物の世話や広報、譲渡先でのその後の確認を行っているらしい。
このベルリンの1か所のみでこれだけの大人数の人が動物の保護活動に携わるドイツ。
やはり社会が動物に対して寛大なこと、そして社会において動物が大切な存在だという認識が根強いということが分かりますね。
ドイツの愛護センター“ティアハイム”での動物譲渡条件とは
これまで、ベルリンにあるヨーロッパ最大規模のティアハイムについて見てきました。
それでは、実際ティアハイムからの動物譲渡条件とはどのような設定になっているのでしょうか。
まず、猫と犬で譲渡条件が違います。
猫の場合は出生8週齢以降。ただし、譲渡先の家の所有面積や留守番の時間を考慮し、それぞれの性格に応じて柔軟に判断。
また、猫の場合は当日譲渡することも多い。その代わりに数週間後に譲渡先の飼い主さんとティアハイムが連絡を取り合い、状況の確認をする。
対して犬の場合は、犬を初めて飼う人や少し扱いが難しい子に対して希望者が何回かティアハイムに訪問し、散歩等の練習を含め少しづつお互いに慣れさせていく。
当日譲渡はない。
そして犬と猫の両方に共通することが、1日8時間以上の留守番をさせないか、家族に動物が苦手な人はいないかといった家族構成や勤務時間、そして住居環境が審査される。
この中で1つでも条件に反していると譲渡は許されない。
こういった条件を定めていることにより、安易な譲渡を防いでいる。
今回ドイツの動物愛護について
- ドイツの動物愛護法には古い歴史があり、それは法律のみならず憲法にも制定されている
- ドイツの動物愛護センターは動物愛護団体のみならず、社会の大きな支援の元成り立っている
- 動物愛護センターからの譲渡条件を細かく定めることによって、安易な譲渡を防いでいる
社会からの絶大な支持の元で成り立っているドイツのティアハイム。
多くのドイツ人の中で、動物は社会的に守らなければならない重要な存在だということ、それに対し多くの人が行動していることは言うまでもありません。
ただし、それだけ膨大な数の動物を保護することのできる広い敷地が日本に比べ、ドイツには多いことも確か。
日本も余っている土地の少しでも多くを動物の保護施設として、今より更に動物保護への認識が向上していく人が増えていってほしいですね…!!
投稿者プロフィール
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犬をこよなく愛して20年。とある田舎で犬たちと暮らしています。
犬を飼っている方の疑問やお悩みを解決し、微力ながら犬と人が幸せに暮らせる社会づくりに貢献していきたいです。
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